何度も観たくなる名作ドラマもあれば、逆に問題を起こし再放送ができなくなったドラマも存在します。今回は、そんな「クレームが殺到して再放送できないトラウマドラマ」を3本ご紹介します。どれも強烈な内容で、視聴者の心に深い影響を与えた作品ばかりです。
まずご紹介するのは、2007年に放送された『ライフ』です。このドラマは、少女漫画が原作であり、いじめ問題をテーマにしています。主演は北乃きいさんで、彼女が演じる主人公・椎葉歩が高校で壮絶ないじめに立ち向かう姿が描かれています。
この作品は、原作漫画の強烈な画風を忠実に再現し、ドラマもその過激さを隠すことなく映像化しました。いじめの内容は、トイレで水をかけられたり、黒板に悪口を書かれたり、教科書を捨てられたりと、その過激さは視聴者の心をざわつかせました。特に、クラスメートから「おめーの席ねぇから」といわれるシーンは、いじめの象徴的なセリフとして現在でも語り継がれています。
しかし、その過激な描写が視聴者の間で大きな物議を醸し、放送倫理番組向上機構(BPO)に多数の苦情が寄せられました。
これにより、地上波での再放送は一度も行われず、現在ではDVDなどでしか見ることができません。内容は重く、ショッキングですが、いじめ問題に真摯に向き合った名作でもあります。
次に紹介するのは、1997年に放送された木村拓哉さん主演の『ギフト』です。このドラマは、木村さん演じる記憶を失った青年・早坂由紀夫が、さまざまな人々にギフトを届ける中で自らの過去と向き合っていく物語です。当時、木村さんの人気は絶大で、ドラマも高視聴率を記録しました。
しかし、1998年に栃木県で起きた中学生による刺傷事件がこのドラマに影を落とします。加害者の少年が、木村さんが劇中でバタフライナイフを使うシーンに影響を受けたと供述したことが報じられ、ドラマが社会に悪影響を与えたとして再放送が中止されました。
『ギフト』はその後一度も再放送されておらず、DVD化もされていません。しかし、視覚的な演出やキャストの豪華さから、今なお伝説的な作品として語り継がれています。残念ながら事件の影響でその全貌をもう一度見ることができないという点が、ファンにとっては非常に悔しいところです。
最後にご紹介するのは、2014年に放送された『明日、ママがいない』です。このドラマは、児童養護施設を舞台に、親と離れた子どもたちが葛藤しながらも成長していく姿を描いています。主演は芦田愛菜さんで、彼女が演じる「ポスト」という少女が他の子どもたちと共に様々な問題に向き合っていく物語です。
しかし、放送直後から全国の児童施設や関係者から「施設の実態を誤解させる」「子どもたちがいじめの対象になる」というクレームが殺到しました。特に、第1話で施設長が子どもたちに対して「ペットショップの犬と同じだ」と言い放つシーンが問題視され、制作側も対応を余儀なくされました。
第6話では、施設長が「世の中にはひどいことが起こるが、それを無視せず心に受け止めろ」と子どもたちに諭すシーンが放送され、視聴者の間で賛否が巻き起こりました。このセリフは、クレームに対する制作側のメッセージとも捉えられ、「神回」として一部視聴者から高く評価されました。しかし、結局はクレームの影響で全話の平均視聴率が低下し、再放送も見送られることとなりました。
以上が、クレーム殺到で再放送ができなくなったトラウマドラマ3選です。どの作品も、視聴者に強烈な印象を与えた一方で、社会問題に発展し、その後の放送が困難になったという共通点があります。再び放送される日は来ないかもしれませんが、それぞれの作品が持つメッセージやインパクトは、今後も語り継がれていくことでしょう。